風薫る中で外乗を楽しむ

九州地区は梅雨入り宣言がされて数日経った、平成25年5月29日(水)、空は曇り決行は心配されたが、時折薄日も射す天気で、うま牧場のオーナーダンさんのGOサインで企画は実行モードに入った。赤水のレッドリバーまでの2時間から3時間の予定だそうだ。
リーダーのダンさんが乗る馬はミルクちゃん、紅一点のスカーレットはチョコちゃんそして私、ジミーが何時も乗るマロンちゃんに跨(またが)り爽やかな風が流れる中、うま牧場を後にしたのは午後三時半過ぎ。
直(す)ぐに、国道57号線を三頭の馬は横断し、赤水地区の農道に入る。パッカパッカと舗装された道では音が弾む。時折ウグイスや他の野鳥の鳴き声も聞こえてくる。又田植えが終わった田畑は一面に水が張られ、苗が整然と植えられて瑞穂の国の阿蘇がある。農家の庭先にはサツキの赤が際立ち、木々や草花は青あおしい緑の装いで前日の雨で一段と美しい。
馬に揺られながら、非日常的な高い視線で眺める農村地区の佇まい。長閑(のどか)に目に入る風景に地区の人たちの生活の一面の風景が馬の背に揺られながら後ろに流れていく。
農道やあぜ道そして車道を車と同じく左側で常歩(なみあし)で抜けて行く、いつも阿蘇連山が前方に側方に在る。阿蘇の山々は前日の雨にぬれて美しい薄色の緑を前面に覆(おお)って、まるで中国の山水画がカラー化されて描かれた風景がそこに拡がっていた。奥深い阿蘇の風景を堪能できるのは偏(ひとえ)に馬さんのお蔭なり。車では行くには用事なく、歩いていくには遠い場所を馬でのんびり、パッカパッカと進んでいく。
極めつけは赤水のレッドリバー、用水路は幅5メートルほど、真っ直ぐ伸びる川筋、深さ約10センチ余りの水が流れる中、川上に向かってパシャパシャと三頭の馬は歩く、歩く。川の中を足元が濡れずに歩いている不思議さと今の爽快さ・・・乗馬ならではの体験なり。 前の馬、後ろも馬、自分の乗る馬にも目を凝(こ)らす、周りを凝視する、風を意識する、目を閉じ馬が奏でるパシャパシャの音に意識を集中もした。実にすばらしい一場面、一時なり。
民家の庭でバトミントンをされているお母さんと女児、我々を見て一時プレーを中断。カッコイイーそんなお母さんの感嘆が、嬉しくもあり、心をほぐしてくれた。又農家の玄関先で手を振って笑顔で迎えてくれたおばあチャンそして蛇石神社近くのYMCA保育園の園児たち。園庭での遊びを止めて「馬ちゃんだー」と三頭の馬をめがけてフエンスまで駆け付けてくれた。約20名の幼児達、温まるこんな出会いもあった。
今回は前の日の雨もあり常足が殆どのトレッキングだったが、一度だけ、蛇石神社を過ぎた山道で速歩(はやあし)から駆歩(かけあし)があつた。距離は約200メートル。愛馬マロンの上下の躍動・振動が我が足腰の上げ下ろしとリズムがあつた時、その瞬間の走りはなめらかで宇宙遊泳も”各ノ如し”かと思えるほど快感なり。これはハマル、病み付きになる体験だった。(スカーレット曰く・・・ヨーロッパでは殆ど常歩(なみあし)です。アメリカやオーストラリアでは速歩(はやあし)や駆歩(カケアシ)が多い・・・・と。さすが諸外国で乗馬体験豊富な彼女の言なり又彼女語る・・ジミーいつか馬で九州一周しませんか?実に夢が多い人なり)
林道の狭い杉並木の間を通り、急な泥濘(ぬかるみ)の登り道や傾斜勾配の厳しい処では、ダンさんの指示が飛ぶ。登る時は”たずな”は引かない!下りでは上体は後ろに反らす! どうにか乗りこなす。でも 上手くいく時もあり、ない時もありだった。
復路でレストラン「あそ路」から山道に入り、倒木が道を塞(ふさ)いでいるような山道を抜けながら一路うま牧場に向かう。近くで道を間違えるパプニングもあり、外乗ならではの体験を味わい楽しむ。
又こんな出来事もありビックリしました。それはゴールの厩舎近くでダンさんの乗馬ミルクが急な坂道を下っている時、急に前足を折りやがて後足も折りしゃがみ込みました。一瞬骨折か? と心配しましたが、すぐに立ち上がり皆ホットしました。
ダンさん曰く・・ミルクの疲れが限界に近づいたサインなり・・・と。それからは馬を降り”たずな”を取り、優しく歩いて牧場まで誘導されました。
無事に帰り着くと直ぐに重い鞍をおろし、飼葉を与え、三頭の馬の首筋をたたいて、慈しんでおられる姿にさすがと感動を覚えました。これからは敬意を籠(こ)めダンさんでなく肩書きを付け、「ダン隊長」と云おうと思う。
最後に馬君たちにありがとう。下馬せず3時間半ものトレッキングでしたね。重い私達を乗せてくれよく運んでくれました。ミルク、チョコそして我が愛馬マロン 有難う!!激感謝 もう一度イタリア語で云おう”グラッチェ”!!・・・・と。
2013.5.31

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